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■『やさしい宝石教室Q&A』
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04 宝石はいろんなふうにカットされていますが、もっとも好ましいカットとはどんなものですか?
 宝石のカットは、それぞれの宝石が本来もつ性質を充分考え、宝石の第一条件である美し さというものを、最大限に引き出すようなかたちでなされます。だから全体として好ましいカッ トなんてありません。げれど、ダイヤモンドに相応しいカットがあり、エメラルドに相応しい カットがあって、オパールに相応しいカットかあるというふうには云えるでしょう。

良質のダイヤモンドにはふつう、ラウンド・ブリリアント・カットというカット形式か施され ます。カット面が多いのが特徴です。ダイヤモンドの輝きの原因は、光の強い屈折 と反射によるものです。だからカット面を多くして、いろんな方向から光を入れ、 内部でたくさん反射させるのが理想です。

エメラルドには、たいてい、エメラルド・カットが施されます。
エメラルドは割れやすい宝石です。そこで、この平たい長方形の、四隅が切り取られたカットは、 衝撃の強さをやわらげ、エメラルドの割れやすいという弱点を、ある程度カバーしています。

また、割れやすいということは、カットする際に、ブリリアント・カットのような鋭く複雑なカッ ト面は得られないことを意味します。しかしエメラルドはダイヤモンドのように「輝く」タイプ の宝石ではありません。ダイヤモンドに比べて、石の内部で光を反射させる力はかなり小さい のです。だからカット面をたくさん作って、光をいっぱい反射させようとしても無駄なのです。 むしろすくないカット面のほうがより理想的だと云えます。
繰り返しますが、宝石のカットと は、その宝石が本来もつ性質に沿って、その宝石の美しさを最大限に引き出すかたちでなされ ます。ファッションや流行ではなく、それは科学的に計算されたものなのです。エメラルド・カッ トは、割れやすいという欠点をカバーし、エメラルドの美しさを最大限に引き出すカットだと 云えます。


この他には、カボション・カットという、まるい山形のカットがあって、これは特殊な光学的効果を示す宝石に用いられます。たとえばスター(星形)効果を示すもの(スター・ルビーやスター・ サファイアなど)、あるいはキャッツアイ(猫目)効果を示すもの(クリソベリル・キャッツア イなど)、それから遊色効果を示すもの(オパール)などは、それぞれの効果が充分発揮される ようカボション・カットされます。また、このカットは、特別の光の効果はなくとも、半透明な 宝石、たとえばヒスイ、不透明な宝石、たとえばトルコ石などにも使われます。

*ラウンド・ブリリアント・カットやエメラルド・カットは、まとめてファセット・カットとよばれます。ファセッ ト・カットには、他にもオーバル・カットやピアジェイプト・カット、テーパード・バゲット・カットなど、いろ んなタイプがあります。

*カボション・カットにも、シングル・カボションやハイ・カボション、ロー・カボションやダプル・カボションな どのタイプがあります。





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