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■『やさしい宝石教室Q&A』
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10 張り合わせ石ってどんなもの?
 張り合わせ石とは、二つか三つの石を組み合わせてつくった石のことです。二つの石を組み合わせてつくったものをダフレット、三つの石を組み合わせてつくったものをトリプレットと云います。

ダブレットが主流ですが、そこにはいろんなタイプの組合せがあります。たとえばふたつの天然オパールを組み合わせたもの。図のように上部にオパール、下部にもオパール、これを張り合わせる。どうしてこのようなことをするかというと、オパールは薄い板状のものとしてよく産出します。オパールは、遊色効果という独特の光の効果が取り柄の宝石です。けれどあんまり薄すぎると、うまい具合に輝いてくれません。そこでふたつのオパールを張り合わせて、充分な厚みを出し、遊色効果を引き出そうというのです(この種のオパール・ダブレットは識別が困難な場合かあります。疑わしい場合は必ず枠をはずして検査する必要があります)。上にオパール、下にオニキスとか黒色ガラスをもってきて、張り合わせる。そういうものもあります。目的は同じく、遊色効果を引き出すためです。

ほかには、ダイヤモンド・ダフレットとよばれるものかあります。これは上部に天然のダイヤモンドをもってきて、下部に無色の合成石や水晶、ガラスを張り合わせる。見た目、ホンモノにみえてしまう場合もあります。

あと知っておきたいのは、カーネットトップ・ダフレットというものです。これはいちばん上にアルマンディン・ガーネットの薄片をちょっぴり乗せます。そしてその下に、色つきのガラスを張り合わせます(図)。

上にちょっびり乗せたガーネットの色は、石全体の色にほとんど影響しません。だから下のガラスの色次第で、この張り合わせ石は工メラルド、ルビー、サファイア、トパーズ、アメシストなど、なんにでも化けることができるのです。
色つきガラスだげのイミテーションなら、表面の弱々しい光沢を見るだけで、ガラスだとわかるでしょう。けれどその上に光沢の強いガーネットが張り合わされているのだから、欺かれることがないとも云えません。

しかし、これら張り合わせ石の見破りかたは、割あい簡単です。石を横から見てみる、すると張り合わされた接合部分が見えるでしょう。ルーぺを使えば充分です。

たとえばガーネットトップ・タブレットなどの場合、上のガーネットと下のガラスの、光沢のちがいまでわかるはずです。このちがいは素人眼にもあきらかなほどです。それから接合部に、ぷつぷつとしたガラスの気泡を見つけることができるかもしれません。

すでに枠止めされてあって、分かりにくい場合は、枠をはずす必要があります。枠をはずして、裸石(ルース)の状態で観察すると、なお分かりやすいでしょう。

また、カーネットトップ・ダブレットの裸石を、テーブル・ファセッド(上の平らな面)を下にして、白い紙の上に置くと、ぼわっと赤い輪がまわりにできます。この簡単な検査は、赤色以外の石を模倣したガーネットトップ・ダブレットを見破るのに有効です。下にある青や緑の着色カラスによって隠されていたガーネットの赤い色が、こうすると、まるで亡霊みたいに姿を現してしまうのです。正体見たりって感じなのですね。透明なカラスコップの中に水を入れて宝石を液浸するだけでも、簡単に識別できるものもあります。

張り合わせ石に遭遇することは、実際、そんなに数多くないかもしれません。しかし実際い出会ったときに、見誤らないよう、普段から、石を横からも見るという習慣をつけておくことが大事だと思います。石は上からだけでなく、必ず横からも見ること、そういう癖をつけておくといいと思います。


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